さくらのVPSはあちこちのVPSサービスに比べて実使用上のパフォーマンスが相当高い.具体的には以下の記事を見てみると良いと思う.
格安の低価格VPSを比較する
VPSサービスは仕様上の性能はいいことを書いておいて,実際使ってみるとI/Oパフォーマンスが異常に悪かったりするひどいサービスもあるのだが,さくらのVPSはその点値段以上のパフォーマンスが出ているといえる.
そんな状態でもEC2を使いたいというシチュエーションがあったので,まとめておく.
各VPSサービスの整理
まず,さくらのVPSの利点は主に下記の点にある.
- 月額単価が安く,定額(+初期費用も安い)
- 国内にサーバがあり,国内向けのサービスには良いRTT性能を発揮する
- 性能的なコストパフォーマンスが非常に高い
- 自分の好きなディストリビューションを選択できる
一方,Amazon EC2の利点は次の通り.
- AMIを使った「オレオレVM」を作成し,使い回すことでセットアップのコストを圧縮できる
- 1時間単位で課金されるので,使わないときはVMをshutdownしておけばお金がかからない
- VMの性能別プランが複数あるのに加え,EBSによりほぼ無限にストレージを拡張可能
- ELB, CloudFrontやS3など,スケーリングに対応したオプションサービスが豊富
- SLA(Service Level Agreement)99.5%保証
色々あって分かり難いので,表にしてみた.
- ※1:Tokyo Regionを使えばさくらと同等のRTTが出せる
- ※2:公式サポート外のOSでもfstabを弄ったりして無理やり動作可能
EC2の方が向いているケース
こうしてまとめてみると,さくらのVPSに比べてEC2が強いシチュエーションは以下のケースが考えられる.
- 大量のストレージ(数百GB〜)を必要とする,またはその見込みがある
- SLAによる稼働率保証が欲しい
メールサーバは組織の扱うデータの性質にも寄るが,ある程度以上の規模になると色々と頭を悩ませる点が多くなってくる.
主には,
- メールボックスのサイズ増大によるストレージの追加コスト
- バックアップ管理,及び障害対応のコスト
- 停電や障害時でも高い稼働率を要求される事による運用コスト
といったものがシステム管理上大変なものになる.
Google Appsを使うという選択肢もあるが,メールの配送が微妙に遅延したり,自前サーバでないとできないことをやろうとすると結局別にサーバを用意しないといけなくなったりするという問題がある.
さらに,ビジネス向けは1アカウント辺り年間6,000円なので,12アカウントも作れば月額6,000円になってしまい,アルバイト,契約社員を含めて多くの従業員が居て,柔軟に人数が増減する環境ではコスト高になってしまう.
メールサーバにはEC2?
というわけで,メールサーバとしてEC2を使うのはオススメできると思う.EBSなら数TB単位のストレージをボタン一発で確保できるし,バックアップもスナップショットを使えば簡単に取れる.
何より,途中でストレージが足りなくなったときにOSの再インストールや機材の発注などの面倒なことをする必要がないというのは良い点だと思う.
また,EC2はスパムメールサーバに使われやすいことから,そのままメール設定をするだけだとスパムブラックリストに入ってしまうので,以下のサイトを参考にDNSの逆引き設定を行う必要がある.
まとめ
そんなわけで,今後の夏の計画停電に向けて,会社にメールサーバがある会社は真剣にVPSへの移行を検討しても良いのではないかと思う.
計画停電が無いにしても,今後電気代が上がるのは避けられない状況でもあるし,各社に節電対応が求められるようにもなってくるだろう.そんな時の選択肢として頭に留めておく価値はあるだろう.
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